アバチュはいいぞ ~ペルソナファン向けアバチュ布教資料~
アバチュはいいぞ。
アバチュを他者に勧める時はこの文言を使え、
と先人から教わりました。
タイトルにあるように、この記事はアトラスの名作RPG
【DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー】
通称・アバチュを、同じくアトラスの名作RPGシリーズ「ペルソナ」のファンの方(特に3以降)に向けにプレゼン資料になります。
出来る限り公平な立場から布教したいため、ペルソナシリーズと比較してオススメしたい部分とそうじゃない部分の両方を発表していきます。
※「俺はアバチュに関してはハッピーな意見しか見たくないんだぜ~!」
という方はこの記事を見かけた記憶を忘れるか、オススメ部分だけを読んだ方がお互いのためになります。
そもそも「アバチュ」ってなに?
「アバチュ」とはペルソナとメガテン*1でお馴染みの「アトラス」から出たPS2専用RPGのことです。しかも前後編でソフトを2つ買う必要があります。ペルソナ2と一緒ですね。
概要はWikipedia等々を見た方がわかりやすいでしょう。
(勿論、ネタバレを踏む可能性・大です。ですがネタバレを見てプレイしたくなるという方もいると思います)
DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー - Wikipedia
1のあらすじもそのままWikipediaさんから引用しちゃいますね。
2025年。サーフ率いるトライブ、エンブリオンはジャンクヤードでいつ果てるとも知らぬ戦いの毎日を送っていた。彼らは戦う意味を知らない。色を宿さぬ瞳で黙々と抗争を繰り返す。ただひとつの目的は「すべてのトライブを倒し、ニルヴァーナへと進む」こと。
しかし、機械的とさえ言えるその日々は、突然変化する。
ある日、サーフ達は別トライブとの戦闘後に謎の記憶喪失の少女、セラを保護する。ジャンクヤードでは見たこともない黒い髪の色をした彼女は、空から突然、謎の物体とともにやってきた。セラと同時にやってきたその物体は、謎の光を放ち、ジャンクヤードの住人の身体を貫いていく。
「Om Mani Padme Hum」 サーフの脳に浮かぶ謎の言葉。
「喰らい尽くせ、Varna」 サーフ達は悪魔の力を手に入れ、同時に瞳に色が宿った。彼らはやがて人としての心を持ち、それ故に悩んでいく。
そして悪魔となった彼らは、喰らい合わなければ生きていけない。
時を置かず、ジャンクヤードを管理するカルマ教会は「黒髪の少女を連れジャンクヤードの覇者となったトライブにのみ、ニルヴァーナはその門を開く」という新しく掟を公布する。
かくして事態はセラをめぐる抗争へと発展していく...。
公式サイトですか? 存在しません。20年近く前の作品ですので。
要は「悪魔の力を手に入れた主人公たちが他の悪魔化人間と争う」お話です。
更にわかりやすく表現すると、
「中央区が管理するヒプノシスマイクによって各ディビジョンがラップバトルによって領土を取り合う」
って感じです。中央区をカルマ協会、ヒプノシスマイクを悪魔化、ディビジョンをトライブに変換すればわかりやすいです。
ヒプマイファン向けアバチュ布教資料ではありませんが、ヒプマイという作品形態全てを許容できるくらいの広い心を持っていた方がアトラス作品(というかありとあらゆるエンタメ)は楽しめると思います。
PS5が出ている時代に古いゲームをなぜ今布教するのか。
それは、アバチュがメチャメチャ面白いからです。
本当にメチャメチャ面白い。個人的にアトラス作品で1、2を争うくらいのクオリティ。シナリオ構成・キャラクター・ゲームシステム、どれもズバ抜けています。
ですが、後述の理由により認知度もメチャメチャ低いんです。
そういう作品を多くのオタクに伝えるのがオタクの義務であると私は考えます。
「松澤ネキ」でお馴染みの松澤千晶さんもアバチュの実況を始めたようなので、ネタバレを気にしない方はこちらを見てからプレイを考えてみてもいいかもしれません。
※松澤さんは「真・女神転生3」の実況もされています。こちらも要チェックです!
※サーフ(パッケージに写ってる主人公)の強火すぎる夢女子が作成したヤバい画像みたいなサムネイルです。
※「今わの際 幻覚」で検索したら出てくる画像みたいなサムネイルです。
「実況・ネタバレ見てからプレイを考えるのアリ」
と言うと抵抗を覚える既プレイヤーの方もいらっしゃると思いますが、個人的には5年以上前の作品を勧める時はネタバレ込みの布教もアリだと考えています。
通常のマーケティングでは興味を示さなかった人にプレイ意欲を抱かせるには多少のネタバレも必要なのかな、と。
ですが、アバチュはネタバレを踏まないでプレイした方が面白いのも事実です。
そこら辺は自分の価値観・プレイスタイルに合わせてみてください。
アバチュはいいぞ。これは締めの言葉です。
なんでペルソナファンに向けてるの?
単純明快。アトラスの他のシリーズをプレイしている古くからのファンは大抵アバチュをプレイしているからです。ハムスターパラダイスとかスノボキッズとかをプレイしている人よりは確実に多いです。
ペルソナシリーズは3と4の成果もあり、かつてのアトラスがターゲットとしていなかった層の人間を取り込むことが出来ました。
つまり、この新しい層のファンは他のアトラス作品にハマりにくい傾向があるということです。
「暗そう(事実)」「難しそう(事実)」「面倒なオタクしかいなさそう(真実)」
「パッケージになんかバケツを被った怪人物がいる」
「このバケツ男を店頭で見かけて、面白そうと思う人間はいないだろ」
などの理由があると思いますが、一番の理由は絵柄でしょう。
悪魔絵師・金子一馬のイラストはクセの強い無機質めいた特徴があります。
これも魅力のひとつなのですが、悲しいことに絵柄で敬遠というものがオタクの習性*2にあります。オタクというか、人類の習性ですね。防衛本能と言い換えてもいい。
ペルソナ345が大衆にヒットした要因のひとつに、「金子絵から副島絵への移行」があるのは間違いないでしょう。
ですが、絵柄で敬遠というのは言わば食わず嫌いに分類されるものだと思います。
独特な絵柄の代表「ジョジョの奇妙な冒険」がアニメ化で再ヒットしたように(私の中では常にヒットしています。首位打者です)、アバチュも触れる機会さえあれば内容の面白さが大勢の方に伝わるはずです。
この記事はそういった方とアバチュの橋渡しになれればな、というものなんです。
ペルソナとの違い
ペルソナといえば、カレンダー形式で時系列が進んでいき、限られたリソースの中で
・ダンジョンの攻略(RPG要素)
・コミュ・コープキャラとの交流(SLG要素)
を行っていくのが最大の特徴だと思います。
俗っぽい魅力を挙げると
・ペルソナ使いになりきって、社会悪に立ち向かえる
・友達や恋人を作って青春の追体験ができる
・なんかオシャレでカッコイイ
・リアリティのある鬱屈した感情を得られる
・好きなキャラの死を体験できる
などのオタクが好きな要素で溢れています。
一方のアバチュは一本道で遊びのない王道のRPGになっています。(隠しボスなどのやりこみ要素はペルソナ以上)
それどころか、
・悪魔に成り果てて、共食いし合う
・仲間と交流できるが、コミュみたいなものはなし
・恋人を作るどころか色恋事で揉める ※ペルソナも浮気の件でちゃんと揉めた方がいい
・なんか不気味な世界観で不安になる
・鬱屈した感情に陥る
・好きなキャラの死をたくさん体験できる
のようにペルソナとはほぼ真逆の内容です。
共通項は死のみと万人の生涯と同じ結果になってしまいました。
これが、メメント・モリです。
後述する戦闘・育成システムの奥深さは正直ペルソナを超えているので、そこは楽しみにしておいてください。
闘争と死は人類に必要不可欠な事象なのです。
オススメしたい部分
キャラクター
サーフ
CV.野島健児(滅多にしゃべりません)
トライブ「エンブリオン」のリーダーであり、プレイヤーの分身たる主人公 。
変身する悪魔はインドの水神「ヴァルナ」
アートマ(頬にあるタトゥーみたいなの)は「ウォータークラウン(水の王冠)」
アバチュはモチーフがインド神話なんですよ。
サーフは、いわゆる無口系主人公なのですが、彼にはバッグボーンがきちんとありますのでペルソナ主人公のように自身と重ねすぎると違和感が生まれると思います。そういう意味ではP3主人公ズと一緒ですね。
(みんな着てるけど)灰色の服が特徴的ですが、臀部の部分だけ黒いため、プレイ中は彼の臀部に自然と目が行ってしまいます。アトラスの仕掛けた視線誘導(ミス・ディレクション)に違いありません。そういう意味ではニーア・オートマタと一緒ですね。
ステータスはプレイヤーが自由に割り振ることができますが(オススメは魔・速)、氷結に強く火炎に弱いという特徴があります。
彼に関してはパーソルな部分がアバチュ2のネタバレと直結しているので、黒臀部に視線が行ってしまうことしか言えません。
セラ
CV.桑島法子(歌ってくれます)
アトラス名物「記憶を失った謎の少女」です。マリーの先輩ですね。
アトラス歴が長い人は彼女とサーフの名前に何か引っかかるものがあると思います。
1では戦闘に参加しませんが、2では見事にプレイアブル化。りせの先輩ですね。
謎の少女の詳細を語ってしまうのはあまりにも野暮なので彼女もサーフと同じく言えることは少ないです。
彼女の臀部に視線が行ってしまう人はミスディレクションとかじゃなくてシンプルにそういう思考/嗜好の人です。恥を知りなさい。
アルジラ
CV.冬馬由美(調べてみたらピチュー・兄を演じたことがあるそうです)
エンブリオンの狙撃手にして金子一馬イズムの体現者の一人です。
変身する悪魔は地母神「プリティヴィー」
アートマは胸の「サイズミックウェ-ブ(地震波。カッコイイ)」
風貌から姉御パンクな女性に見えますが、かなりの常識人で一番プレイヤーと同じ価値観の持ち主だと思います。ゆかりみたいな感じですね。
あと変身すると両胸が口になります。
使用する魔法は地変属性の「テラ」
地変属性は滅多にない魔法ですので(ペルソナ2とデビチルくらい)気になる方は是非使ってみてください。
ペルソナ6が出たら念動がリストラされて地変と重力が復活する気がします。
彼女は自分が悪魔となり悪魔を食らうことに疑念と抵抗を抱いており、それが物語全体への投げかけになっています。シナリオの裏回しを担う重要な存在です。
アバチュは仲間キャラ全員にシナリオを動かすために必要な要素を持たせているので、仲間キャラが多いRPGにありがちな
「このキャラ終盤空気だよね」
「このキャラとこのキャラが居ればいいじゃん」
という元も子もないコメントが生まれないのがいいですよね。
それはそれとしてPQ2はもう少し手心を……
ヒート
CV.緑川光(真田明彦と一緒)
エンブリオンの攻撃手(アタッカー) つまり、切込み隊長です。
変身する悪魔は火神「アグニ」
アートマは右腕の「ファイアーボール(火球)」
一言で表すと「主人公をライバル視するドライな真田明彦」
「明智吾郎の成功例」って感じです。
この子はいい子なんですけど、如何せん不器用で、ライバルでありリーダーでもあうサーフに惹かれるセラを見てモヤモヤした感情を抱いちゃうんですよねぇ~。
その感情が爆発というか暴発してしまい、セラの唇を奪ってしまう始末……。
そんな彼を母親のような心持ちで見守ってあげてください。「あらあら」という言葉がこぼれまくります。
彼が動けばシナリオも動きますし、彼の視点になってプレイすると通常のプレイでは味わえない感情を得ることができます。個人的にはアバチュの裏主人公って印象ですね。
変身すると頭が2つある筋肉ダルマになっちゃうんですけど、段々可愛く見えてくるはずです。
ちなみに首が8つあるボスが後で出てくるんですけど、そいつは8回行動できるのに頭が2つあるヒートは2回行動できないんですよ。
こういうのが差別と諍いの始まりなんだと思います。
ゲイル
CV.堀秀行(幾月と一緒)
エンブリオンの参謀。つまり副リーダーですね。
変身する悪魔は風神「ヴァーユ」
アートマは脚の「ツイスター(竜巻)」
冷静沈着で頭もキレるため、美鶴・直斗・真と似ていますね。
ですが、残念ながら彼とクリスマスデートはできません。一緒にハンバーガーも食べれないし、自室に靴下を忘れることもありません。ただ、子持ちの父親と仲がいいです。
彼は力・魔・速というアトラスのRPGにおける重要なステータスがバランスよく成長するうえに高火力の専用技を習得するため、ほとんどのプレイヤーが最終決戦に彼をスタメン入りさせているはずです。
力・魔・速のバランスがよく性能の高い仲間といえば、陽介と真がいますが、ゲイルはそれよりも高い位置にいると思います。
2008年に「サポートも攻撃も回復もできる陽介便利だなー」
2016年に「サポートも攻撃も回復もできる真強いなー」
と思っていましたが、まさか2004年に彼らを超えるポテンシャルの持ち主がいるとは想像できませんでした。
4の8年後に5が出ることも想像できていませんでしたし、
その完全版が3年後に出るのも想像できていませんでしたし、
完全版とは別軸の続編が出るのも想像できていませんでした。
性能の高さも凄まじいですが、ゲイルの本当に凄いところは彼の隠された秘密です。
サーフが主人公、ヒートが裏主人公だとすればゲイルは真主人公というところでしょうか。
アバチュ、シナリオに無駄がありません。あったとしてもそれを感じさせない構成になっています。
シエロ
CV.三浦祥朗(しょうろう、ではなくよしあき)
エンブリオンのムードメーカー。髪型がトリッキーすぎて最初見た時、既に悪魔化していると思ってました。金子一馬イズムの体現者その2。
変身する悪魔は天空神「ディアウス」
アートマは太ももの「レインボーアーチ(虹)」
部活の後輩です。そういう感じで接してあげてください。
絵に描いたようなお調子者で、順平と完二を足してネガティブな要素を全て抜いたのが彼です。ずっと元気なのこの子。順平と完二は境遇からして一時的に腐ったり荒れたりするのも納得なんですけど、(というかそういう葛藤を見るためにペルソナをプレイしている)シエロはハードな目にあっても常に”シエロ”なんですよね。
徹頭徹尾ムードメーカーです。シエロがいなかったらこんな部活早々に退部していたかもしれません。
戦闘に関してはちょっと上級者向きです。状態異常に強く、属性魔法の弱点もないのですあ、即死魔法である呪殺に弱いためバンバン死にます。呪殺耐性を付与してもバンバン死にます。無効以上の耐性を習得させてあげてください。
ロアルド
CV.神奈延年(タカヤと一緒)
急にオッサンが出てきてビックリされた方も居ると思いますが、画像の添付ミスではございません。(急なオッサンが一番怖いですよね)
彼も正式な仲間、ただし2からの仲間です。
そうです、アトラス名物「後継作に出てくる胡散臭いオッサン」です。
長谷川の先輩で、パオフゥの後輩ですね。
変身する悪魔は雷神「インドラ」
アートマは手の甲の「ライトニングボルト(稲妻)」
服装こそ他のメンバーと違いますが、袖を染めるオレンジの塗料が仲間の証です。
決してただの汚れではございません。軽度の金子一馬イズムを表現しているわけでもないです。
いやぁ~、仲間キャラの紹介がこれで終わりました。正確にはもっと大所帯なんですが、プレイアブルはこの7人になります。
気になったキャラがいましたらプレイしてほしいですね。
ところで皆さん、この7人いる仲間キャラの内、何人が死ぬと思いますか?
答えはいいません、ただし、「強い心を持って」とアドバイスすることはできます。
何人推しが死ぬのかを予想しながらプレイするのも面白いと思いますよ。
例え推しが全員死んでも、最後は「素晴らしい作品だった」と思えることは私が保証します。
システム
戦闘・育成が面白い!!!!!!
戦闘
ペルソナプレイヤーの皆さんは弱点をつくと1MORE(再行動)が発生するバトルシステムに慣れていると思いますが、アバチュはアトラスの大発明「プレスターンバトル」を採用しています。
プレスターンバトルとは、ターン開始時にパーティメンバー数に応じた行動権「プレスターンアイコン」(以下アイコン)が与えられます。
アバチュはスリーマンセルなので通常のアイコン数は 「3」です。
プレスターンバトルは野球やアメフトのように攻守が完全に分かれていて、アイコンを消費すると攻守が交代します。
アイコンは行動を行うと消費され、
攻撃や回復を行うと1個消費、
「次に回す」という行動を次のキャラにパスする行為を行うと0.5個消費します。
ここまで聞くと「それって普通のRPGじゃん」となると思いますが、プレスターンバトルの真髄はこれからです。
アイコンは特定の行動で増減します。
ペルソナでは弱点・クリティカルを突くと1MOREが発生しますが、アバチュではアイコンが0.5個増加します。
逆に相手に攻撃を無効化されると1個消費してしまい、反射・吸収されるとターンが終了してしまいます。
逆に言えば、相手に弱点を突かれると相手の行動数が増え、相手の攻撃を無効化すれば相手の行動数が減るということです。
また、アバチュにウェイトスキルと呼ばれる耐性を一度だけ強化する魔法があります。
つまり、これを駆使すれば火炎属性を使う敵の攻撃を先読みして無効化し、行動数を減らすことができるのです。
ウェイトスキルの有無と属性相性を常に考える必要のある戦闘は、戦略性が高く、まるでパズルや将棋のように二手、三手先の行動を予測する必要があります。
故にアバチュは面白い!!!!
育成
勘のいい方はお気付きでしょう。
そうです、アバチュ及びプレスターンバトルでは「如何にして敵の弱点を突くか」
つまり「複数の属性の習得」が重要になってきます。
つまり、キャラ育成です。そこはペルソナと変わらないですね。
アバチュでは「マントラ」という一風変わったスキルツリーのような育成システムを採用しています。
ペルソナでは装備しているペルソナがレベルアップすることで、そのペルソナが最初から有しているスキルを習得することができますが、
一方のアバチュはレベルアップではスキルを習得しません。
マントラは一度に複数装備することができず、一人に一つだけペルソナのように装備することが出来ます。しかし、装備しただけではスキルを使用することができません。
アバチュでは戦闘によって経験値の他にアートマポイント(AP)をキャラ毎に入手でき、装備しているマントラの規定数にAPが達することでようやくスキルを習得できます。
一度習得したスキルは対応しているマントラ以外のマントラを装備していても使用することができ、空きが8つある「スキルスロット」に今までに習得したスキルをセットすることで、戦闘でスキルを使用できるようになります。
このスキルスロットも曲者で、8つしかスキルをセットできないんです。
ペルソナでは主人公がペルソナをチェンジすることができるため、8つというスキル数を少ないと感じないかもしれません。
ですが、それに加えてアバチュの戦闘参加数は「3」。
一度の戦闘で使用できるスキルの数はたった24個だけです。
24という限られたリソースの中で、
・弱点を突ける物理・火炎・氷結・衝撃・電撃・地変・破魔・呪殺の8属性のスキル
・相性を貫通する代わりにコストが高い万能スキル
・回復やカジャ・ンダ・チャージのような補助スキル
・相性を強化するウェイトスキルや自動発動スキル
・厄介な敵の行動を封じる状態異常スキル
・そして特定の場面で使用することでAPを多量に入手できるハントスキル
をバランスよく3人にセットしなければなりません。
「配られたカードで勝負するしかない」とスヌーピーが言っていたように、プレイヤーは限られた手数で優位に戦闘を行わなければならないのです。
戦闘参加数が「3」というのが実に絶妙で、ペルソナのように4人ではアバチュのヒリつくような戦闘を味わえないはずです。
少し横道に逸れたのでマントラに話を戻します。
ペルソナで例えると、
ジャックフロストをレベル上げして習得した「マハブフ」を、ジャックランタンを装備していても使用することが出来る。
しかし、ジャックランタンがまだ習得していない「マハラギ」は使用できないので、ジャックランタンのレベル上げして、習得する必要がある。
って感じですかね。
わからない人は「アバチュ マントラ」で検索してみてください、幾何学模様の不思議なオブジェクトが出てくると思います。
上述のようにマントラはスキルツリーに似ています。
特定のマントラをマスターすることで別のマントラが解放され、それを装備しAPを蓄積させることで新スキルを習得できるのですが、
マントラシステムの恐ろしいところは新たなマントラを装備可能にするには多額のお金が必要になるんです。
つまり、強いスキルを習得できるマントラが解放されても、ゲーム内通過不足によって装備可能にできないということです。
一見、不自由なシステムに見えますが、実はとても練られたシステムなんです。
先程、戦闘では経験値とAPを入手できるといいましたが、お金も入手することができます。
お金はマントラを装備可能にする他、回復や装備・アイテムの購入にも使用する大切な資金です。
レベルの上昇=ステータスの上昇に必要な「経験値」
スキルの習得に必要な「AP」
回復やアイテム購入・マントラの装備に必要な「お金」
この三つのリソースを考えながら戦闘を行う必要があるのです。
勿論、戦闘を繰り返すには潤沢なHPとMPが必要、つまり回復が必要です。
回復にはお金が必要、お金を得るには戦闘が必要、
戦闘でHP・MPをできるだけ消費しないためには強いスキルが必要、
強いスキルを得るには多量のAPが必要、多量のAPを得るには戦闘が……
どうです、絶妙のバランスで成り立っている育成システムの肝が見えてきましたか?
アバチュの戦闘と育成の面白さが感じられましたか?
シナリオ
ネタバレになるからなんも言えね~~~~~!!!!!!
ただ、クリア後にワンワン泣いちゃうと思います。
というか最終ダンジョン突入前後に泣くし、その前のイベントでも泣くし、なんならアバチュ2は中盤からずっと泣きっぱなしだし。
アバチュは神話です。誇張表現ではなく、新世界の神話の創成期を紡いでいるんです。
絶対に後悔させません。
アバチュはいいぞ。
良くない部分
ここからは良くない部分です。読みたくない人は読まないでいいいですし、私だって書きたくないんですけど、自分の中の良心がそれを許そうとしないんです。
アバチュは超絶に面白い名作ですけれど、どうしても「……うーん」となる部分がたった2つあります。それらを血涙を流しながら羅列していきますので、私と当時のアトラスを慰めてください。
・遊べるハードがPS2のみ
冒頭で言ったようにPS2専用ソフトなんです……。
あの、壊れやすくサポートが終了している3世代前の、20年前のハードでしか遊べないんです……。すみません……。
本当にすみません……。アトラスがリメイクをしないばっかりに。
でもクオリティは一切20年前ではないので安心してください。
それに、同時期に出た「真・女神転生3」がこの前リメイクされたばかりなので可能性は0じゃないです。リメイクされたら一緒に遊びましょう!(マルチプレイ要素はありません)
・2部作
冒頭で言ったように2部作なんです……。
ディスク2枚組とかじゃなくて「2部作」なんです……。
しかも完全なる前後編で、1だけだとぶっちゃけストーリーが投げっぱなしなんです……。
かと言って2だけプレイしても面白くないし、1のデータに2の重要なフラグかあるから絶対に1と2をプレイする必要があるんです……。
だからソフトを2つ買ってください……。
このせいでアバチュは売れなかったと当時のファンの方から聞きました。
それもそうですよね、投げっぱなしエンドの続編を買う勇気ないですよね。
せめてペルソナ2みたいに2部作を早期させるタイトルだったら……。
本当にすみません……。追加DLCが主流の世の中なのに、アトラスが追加シナリオのためにフルプライスの新作を買わせるような真似をするばっかりに……。
でもちゃんとRPG二作分のボリュームもありますし、1と2は完全に別物なので安心してください。
以上が良くない部分になります。
たった2項目ですけど、あまりにも強大すぎる2項目でしたね。
どうです? アトラスに対する愛憎が感じ取れましたか?
可愛さ余って憎さ百倍とはアトラスのためにある言葉ですね。
アトラスのことは大大大好きですが、「商売がポンコツ~~~~!」と思うことが多々あります。
そんなドジっ子アトラスくんの大ドジによって影が薄くなってしまった皆月翔とラビリス、じゃなかった、「アバタール・チューナー」をよろしくお願いします。
アバチュはいいぞ。